ある夜、携帯をレンタカーに忘れてしまったことに気づき、
懐中電灯を片手に母に同行をお願いした。
一番怖いのがハブ。
一度も遭遇したことはないが、一人では心許ない。
慎重に前を見ながら一緒に歩いていると、母が「わぁ~」と声を上げる。
「ハブがいたの?」とビビる私、
「めずらしい。10年ぶりに見た〜」という生きものは、貝殻を宿したヤドカリだった。
砂浜の砂が残る道を、夜ひっそりと歩いていたヤドカリ。
母はひょいと拾い上げ、私に見せて伯母の家に持ち帰った。
次の日のお昼、すっかりヤドカリの存在を忘れていた私は、外出先から伯母の家に戻る。
いつものように玄関のドアはあけて網戸を閉めている。
網戸を開けようとすると、その向こう側に昨日のヤドカリが、私の目の前の高さにいる。
咄嗟に、ヤドカリをつかみ「ごめんね。家に帰ってね。」と外に出した。
昨日の夜、伯母はヤドカリをみて、裏返しにして、テーブルの上に置いていたのだそう。
窓がいっぱいあるのに玄関からわざわざ帰ろうとするヤドカリさんに、
敬意を表さずにはいられない(笑)
それから母や伯母に説教をする私。
「かわいそうじゃない」と言いながらも、
それよりも何よりも玄関から帰ろうとするなんて、みんなですごいと感心する。
ヤドカリさんに心がほっこりしたお話。
ヤドカリさん、家に来てくれてありがとうございます。
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